学長・副学長挨拶
学長挨拶
大阪樟蔭女子大学は、創立の樟蔭高等女学校を源流とする、歴史と伝統を有する女子大学です。母体である樟蔭学園の創立者・森平蔵は、女子の高等教育を受ける機会がまだ限られていた時代に、私財を投じて学校を設立しました。そして「高い知性」と「豊かな情操」を兼ね備え、社会に貢献できる女性の育成を建学の精神として掲げました。この理念は学園創立以来一貫して受け継がれ、本学は一世紀を超えて、近代的教養教育を基盤とした女子教育を実践してまいりました。
今日、私たちを取り巻く社会は大きな変化の中にあります。戦後80年が経って世界情勢は複雑さを増し、科学技術の進展は社会のあり方を大きく変えつつあります。こうした状況はしばしば「VUCA(ブーカ)の時代」と表現されます。すなわち、変化が激しく、将来の予測が困難な時代であるということです。不確実性の高いこの時代において、私たちはどのような力を身につけるべきなのでしょうか。
AI(人工知能)やデータサイエンスに象徴される新しい知識や技術を理解し、それらを活用する力は、現代社会を生きるうえで不可欠なものとなっています。大学には、こうした知識を基盤として社会の課題を主体的に解決できる人材を育成する使命があります。本学においても、カリキュラムや教育方法を不断に見直し、時代の要請に応える教育の充実に努めています。
しかし同時に、時代がいかに変化しようとも、人が生きるうえで大切な力には変わらないものがあります。それこそが、本学の建学の精神である「高い知性」と「豊かな情操」を備えた人間、すなわち「教養ある人」の姿です。知性と情操は、教養を支える両輪です。情操を欠いた知性は正しさを語ることはできても人の共感を得ることは難しく、また知性に支えられない情操は個人的な感情にとどまってしまいます。正解が一つではない時代だからこそ、教養を基盤として自ら考え、判断し、よりよい答えを模索し続ける姿勢が求められているのではないでしょうか。
本学では、これからの社会を見据え、大学の改革と再編を進めています。変化の激しい時代に柔軟に対応できる知識と能力を育むとともに、時代が移り変わっても揺らぐことのない教養と人間的魅力を備えた人材の育成に、これからも力を尽くしてまいります。創立以来受け継がれてきた教育理念を大切にしながら、新しい時代の女子教育のあり方を切り拓いていくことが、本学の使命であると考えています。
今後とも、皆様の温かいご理解とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
副学長挨拶
点検・評価 人事 IR担当 副学長 白川 哲郎
、創立者・森平蔵の女子教育に対する高い志と、初代校長・伊賀駒吉郎が目指した理想の女子教育とが一つとなり、樟蔭学園は誕生しました。樟蔭学園は以来、「高い知性と豊かな情操を兼ね備えた女性の育成」を使命として、時代の変遷に対応しながら、百年以上にわたって教育活動を展開してまいりました。
本学の直接の前身となる樟蔭女子専門学校が設置認可を受けたのは1925年のことです。当時、女子が大学へ進学する道は原則として閉ざされていました。そのような時代にあって樟蔭女子専門学校では、女子に対する「高等普通教育」、すなわち現在で言うところの「教養教育」が展開されており、その精神は、今日に遺る学園資料に見て取ることができます。
第二次世界大戦後の学制改革を経て、女子にも大学進学の道が開かれると、新制女子大学として本学は新たな歩みを開始しました。その際に設置されたのが学芸学部、すなわち Faculty of Liberal Arts です。その名称が示すとおり、本学は「教養」を教育の礎として据えてきました。時代によってその在り方に濃淡はありましたが、「教養」を重んじる姿勢は、変わることなく受け継がれています。
現代社会において、「教養」とは何かを一言で表すことは容易ではありません。単に知識の量を競うのではなく、身につけた知識をどのように活かし、何のために用いるのか ―― そうした姿勢そのものが問われているように思われます。
こうした「教養」は、変化の激しい現代を生きる学生にとって、その人生を主体的、自律的に切り拓いて行くための確かな拠り所となるでしょう。本学では、学生一人ひとりと向き合いながら、自ら考え、判断し、行動する力の基盤となる「教養」を、日々の教育を通して育んでおります。
近年、女子大学を取り巻く環境は大きく変化し、その存在意義が改めて問われる時代を迎えています。そうしたなかにあって本学は、創立以来受け継いできた女子教育の理念と、「教養」を基礎とする教育の価値を、現代にふさわしい形で継承し、次代へ繋いでいく責務を担っていると考えます。
副学長として、その責任の一端を担い、教育の質の向上に努め、本学で学ぶ学生一人ひとりが、それぞれの未来を切り拓いていけるよう、力を尽くしてまいります。
大阪樟蔭女子大学に対して、今後とも変わらぬご理解と、なおいっそうのご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
国際化推進 入試・広報担当 副学長 川上 正浩
大学とは、本来「学び舎」であり、単に知識や技能を身につけるだけの場所ではありません。そこは、人間とは何か、社会とは何か、そして自分はどのように生きるべきかといった根源的な問いに向き合いながら、学び続けていく場です。専門的な知識を得るだけでなく、ものごとを深く理解し、自分自身の生き方を考える力を育むことこそが、大学における学びの本質であると言えるでしょう。
古代ギリシアの哲学者アリストテレスは、人が善く生きるためには、物事を正しく理解する知性と、善い行いを選び取る人格や感性の双方を育むことが大切であると説きました。本学が大切にしている教養教育も、まさにこの考え方に通じるものです。知識だけではなく、人としての判断力や感受性をあわせて育てていくことが、豊かな人生と社会への貢献につながると私たちは考えています。
建学の精神として「『高い知性』と『豊かな情操』を兼ね備えた、社会に貢献できる女性の育成」を掲げる本学では、創立当初から、知性と感性の双方を大切にする教養教育を重視し、約100年にわたり学びのプログラムを積み重ねてきました。長い歴史の中で培われてきた本学の教育は、単なる伝統の継承にとどまるものではありません。むしろ、その歩みは、時代の変化に応じて学びのあり方を問い直し続けてきた革新の歴史でもあったとも言えます。
こうした本学の特徴を一言で申し上げるならば、「伝統と革新」という言葉に集約されるのではないかと思います。たとえば、デジタル社会、ネットワーク社会と呼ばれる現代においては、科学技術の発展に伴い、数理・データサイエンス・AIリテラシーといった力が重要性を増しています。これらは現代社会を理解し、課題を考え、自分の考えを発信していくための基盤であり、いわば現代における新しい教養であると言えます。このように、教養の内容は社会の変化とともに姿を変えていきます。だからこそ本学は、時代にふさわしい教養とは何かを問い続け、教育の内容を絶えず更新しています。
とりわけ、将来の予測が難しい現代社会においては、与えられた「正解」を覚えるだけでは十分とは言えません。自ら問いを立て、多様な情報を踏まえて考え、自分自身の判断として答えを導き出していく力が求められています。本学は、そのような主体的に考え、行動できる力を育てる学びの場でありたいと考えています。そして、変化の激しい時代にも柔軟に対応できる力と、時代が変わってもなお大切にされる人間的な魅力、すなわち知性と情操とをあわせもつ学生を育てて続けてまいります。
今後とも、本学の教育と取り組みにご理解を賜り、引き続き温かいご支援をいただけますよう、心よりお願い申し上げます。